ZENAIMを入手したので紹介します。触ってみて思ったことを書いているので使い込んでの使用感はわかりません。
分解
横幅38センチ程度あります。かっこいいですしフローティングデザインは小指の腹でctrlを押す私にとって魅力的です。
打鍵音が非常に大きいです。
キーキャップは18.2mm角で1mm厚です。

滑り止めとチルトスタンドがあります。チルトスタンドは樹脂筐体の強みですね。そうでなくとも私自身はキーボードの樹脂筐体に肯定的です。ちゃんと構成すれば騒音でないですし何より軽いです。
デザインを感じます。プレートは板金なんでしょうか?

キーキャップを外しました。choc v1的なのです。手測ですが1.25×2.85mmの軸が5.65mmピッチで配置されています。

キースイッチを取り外してみました。プレートと基板の間にフォーム等はありません。
補正値をユーザー側で入れられなかった時期はZENAIMのスイッチを外し異なる箇所にはめることはご法度でしたが、今はユーザーキャリブレーションが実装されたらしいですね。

キースイッチを分解してみました。直方体の大きな磁石が使用されています。上から挿入するのは非十字ステムならではです。
ショートストロークでありながらロープロファイルでないスイッチです。逆に一般的なロープロスイッチはストロークが3.3mmとかあってロープロでありながらショートストロークではありません。ロープロとショートストロークをごっちゃにしてはいけません。

スタビライザーを取り外してみました。プレートマウントでクリップインです。

15点止めのアルミプレートは1.4m厚です。スイッチをはめた状態でも押すとたわみ感があります。

プレート裏に一か所だけ柔らかいフォームが張り付けてありました。なんでしょうね。

小さなスポンジ片はここのスルーホールにあてがわれていました。なんだろね。
やっぱりホールセンサ上の銅箔パターンは無くした方が良いのでしょうかね。機器がないので実際にどんな影響がどれだけ及ぼされるのかわかっていません。

プレート裏にはボトムケースにはめるガイドのように固めのフォームがぐるっと貼り付けられていました。

5点止めの基板を取り外しました。ボトムケースはリブが入っており中央にエプトシーラーが貼り付けられています。ねじ止めはすべてセルフタップです。
層構成自体は安い中華デバイスのようで、何が言いたいかというとそりゃ音でかいよなということです。


基板は1mm厚です。やっぱり磁気キーボードは薄いほうがいいですよね。

コントローラーは170MHzクロック5MSPSADCFPu搭載のSTM32G473です。フラッシュも載せてますね。LDOはでかいものを使用していますが発熱対策でしょうか。
基板を見ると一目瞭然で、なぜZENAIMのUSBが右出しなのかがわかります。マイコンがでかいからキーがないTKL部に配置する→USBを真っすぐ引っ張る→右側に出た。でしょうか。
では60%はどうなってるのか?最もスペースがある2.25Ushift裏に配置でしょうか。TKLから列数減って48ピンpkg使えたりもあんのかな。プレートマウントスタビだと使える面積増えるなと思うなどしました。

磁気キーボードは各社いろいろな部品を使用してキースキャンしています。ZENAIMではFETで行ごとに電源をオンオフして列を読み取るcol2rowのようなマトリクススキャンをしている のではないかと想像します。

消費電力を見てみるとメカニカルと比べると大きいですがふつう500mA制限と思えば余裕があります。
fun60proは230mAでした。このチェッカーはアリエンテックのUT70です。

ホールセンサの電源部にオシロを当ててみました。これを見てどう思うかは人それぞれだと思うのですが、(設計意図は知らないけど勝手に)私はいいなと思いました。



エアプZENAIM語り
・価格改定と新製品発表
新製品リリースのお知らせ-ZENAIM
昨日、値下げと60%サイズの販売アナウンスがありました。50,000円は私としては払えなかったですが、30,000円なら検討できる価格と思います。
一方で製品価値がだいぶ下がったなという残念さもあります。まあそもそも客でない私が言えることではないです。設備投資回収したし稼働率上げるべみたいなことなんですかね知らんですけど。
色々試して勉強するには大陸系の製品は素晴らしいですが、一方で即値下げ即モデルチェンジ即ディスコンや公称値競争がないだけでも腰を据えた選択肢としてZENAIMというか国産ブランドは強く思います。発売から2年経ってますからね。
私がなぜZENAIMを買ってこなかったか、貧乏, 配列, 設定自由度, 等の個人的で的外れな理由は置いておいて、
一般的な実機に触れた感想としてはカチャカチャと騒音打鍵音、キーキャップ塗装劣化、で購入に至りませんでした。とはいえ当時の感覚として打鍵体験がよいよいと言われている磁気キーボードのほとんどが実際のところ全然打鍵体験が悪いしカチャカチャうるさかったということはあります。ゲームに打鍵感も打鍵音も関係ないでしょという人ですがそれでも気になる音の大きさでした。
ここは価格改定と同時にフォームが追加されるようなのでそれでどれくらい反響を抑えられるのか次第では、またキーキャップの塗装改善次第では、これらの気になっていた欠点がなくなり非常に良い製品になるかもしれませんね。
・1.9mmショートストロークスイッチ
そもそもストローク長くても機敏に反応するのがDynamic入力なわけで、ショートストロークはある種相反する要素であります。しかし現実としてユーザーは理想的な運動ができるわけではないですから実際のところショートストロークというのは理にかなっているのでしょうね。
例えばノートパソコンのキーボードを考えるとストロークが短すぎ、指をキートップにつけたままだとストローク動作がしにくく感じます。運動には予備動作が必要ですが、過剰なショートストロークは遊びがなく予備動作を許しません。
私がゲーミングには立体的な形状のエルゴノミクス?キーボードが良いと言うのはそういうことになります。
するとどうなるかというと、指先をキートップから離してタイピングを行うこととなります。ノパソはモバイルのためのショートストロークもといロープロファイルなのでそれでよいのですが、ゲーミングとなると話は変わります。私は指先はキートップに触れてた状態でプレイするべきという考えなので、予備動作を妨害するようなショートストロークは悪影響というわけです。またその点でいうと予備動作を存分に許しながら機敏に反応するためロングストロークなDynamic入力の方が理論的にはいいと思うわけです。理論的には。
ではZENAIMの1.9mmはどうかというと短すぎると感じますが慣れればちょうどいいくらいかなと思いました。どの程度口を出したのかは知らないですがプロが監修しただけはある設計値なのかもしれません。
そんな個人的なことよりも、ショートストロークが磁気スイッチと相性がいいということがシンプルな強みだと思っています。磁石が離れることによる磁力減衰はリニアではなく、より高次で距離減衰します。つまり磁石が離れるほどホールセンサの解像度が悪化し、ラピトリ制御の精度が悪化します。例えば同じ基板同じ磁石で、3.5mmストロークと1.9mmストロークのスイッチを準備したとします。するとショートストロークの方が1.6mm分解像度の悪い領域を使わずに済み、低ノイズで精度のよい領域だけで使え、より短いトリガー距離を謳えると思っています。
また、MXタイプのスイッチに入っている磁石よりZENAIMスイッチの磁石は太く長い磁石を使用しています。よく知らないですが磁石はでかいほうが強く、磁石固有の磁力の距離減衰を抑えられると思っています。
減衰が効いてくるのは精度だけではありません。隣のスイッチを押したときに磁気干渉し、キーが誤入力切れされてしまうのではないかと心配することができますよね。キーアイソレーションも強い磁石?の方が有利に働くと思っています。そういうのもうまく補正するように補償していたりするんでしょうかね分からないですが。
素晴らしきZENAIMスイッチですが気になる点が一つあります。LEDライト用にスイッチに突起が出ていることです。この突起のせいで14mm角の穴にはめることができずMXタイプとプレートが共用できないのです。あとスイッチ単体で販売してくださいお願いします。
・省電力
よく磁気キーボードで電力が足りないなんてことを目にしますよね。その通りで、ホールセンサを60個とか常時起動しながらコントローラーも高速スキャンをし続ける。ただ文字を入力するだけの機械とは思えないほど電力を消費します。
私は最近はわざわざ磁気キーボード使うんだからそういうものとしてむしろ全力で電力を消費すればいいじゃんと思ってきています。これこそがゲーミングだとむしろ電力バカ食い肯定です。PCが古かったりするとUSBからちゃんと規格通りに電力供給できないとかざらですからパワー全開磁気キーボードにはセルフパワーUSBハブをおすすめします、8k対応=USB2.0でありUSB2.0に対応していないものなど売っていないですからよくわからない謳い文句以前になんでもいいからセルフパワーのハブを使おう。
それは置いておいて、ZENAIMは優れており500mAに対して大きく余裕のある消費電力です。つまりZENAIMはたかが文字入力デバイスキーボードごときとしての尊厳を保持しているのであります。セルフパワー前提の磁気キーボードは、当然のように300W消費するグラボのような特殊な用途でのみ使用されるデバイスなのであります。私はもはやそのことに肯定的になりつつありますが、ZENAIMは唯一の?良心です
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