自作キーボードにおいて狭ピッチや3Dなキーボードを作ろうとすると市販のキーキャップのプロファイルだと納得がいかないことがあります。
特にロープロファイル・キースイッチであるkailh choc v1は選択肢が非常に少ない問題があります。
そこで本記事では結束バンドを3Dプリントしたパーツと組み合わせてkailh choc v1用のキーキャップを自作する方法を紹介します。
ステムと一体型のキーキャップと比べFDMでは量産しやすく、またステム折れの発生しないキーキャップを作ることができました。
まあアイキャッチ見たまんまです。
構想
キーキャップを自作する方法としてはシリコンで型を取りレジンを流し込む方法や、SLA方式の3DPで制作する方法が主流かなと思っています。
今回はFDM方式の3Dプリンタでも簡単にキーキャップを作れないかという視点で取り組みました。
なぜかFDMというとまずFDMしか持っていないこと、レジンが単純に高い、量産に向かないと感じたからです。
3Dプリントサービスにモデルを作って注文するという手もありますがそれはまた別の話。
考える上で着目した点は以下の2点になります
①サポート材
FDMでプリントする際めんどくさいのがサポート材の処理です。極力サポート材のいらない設計を心がけます。
キーキャップは沢山必要ですから、たくさんサポート材を剥がす必要があります。
ステムの折れ問題はぶっちゃけそこまで気にしていませんでしたが、サポート材を剥がすのだるすぎるのでステムと一体型で印刷する案は採用することはないです。
よって単純にキーキャップパーツとステムパーツを別々に印刷し、ステム部分をキーキャップパーツに差し込むことが考えられます。
②ステム
ステムとはキースイッチに差し込む部分ですが、自作キーキャップにおいて大きく問題となるのがこの「ステムの折れ」だと思います。
工夫のしようはあると思いますが射出成型のものと比べるとどうしても折れやすいと感じました。
まあキースイッチに嵌めてしまえば折れることもないのでそこまで気にするところではないのですが、気を使わないに越したことはないです。
そこでステムを別の素材にしてFDMキャップに差し込むことを当然考えます。折れないためには2つのアプローチがあり、剛性が高いものと柔軟性に優れるものです。
前者については厚さ1mm幅3mmの金属角棒をカットすることでしたが、そんな都合のいい素材は見つからず(探せばあるかもしれませんが)。見つかるt1mmの10x10cm板をカットするのはとても大変です。
よって後者の案になるわけですがある晩厚さ1mm幅3mm……結束バンドだと唐突に浮かびここに至ります。
アマゾンで検索すると厚さ1mm幅3mmとはいきませんが厚さ0.8mm幅3mmのものが見つかりました。
キーキャップを作る
実際に結束バンド式chocapを作ってみます。
データシートから3×1.2mmの長方形が5.7mmピッチであることが分かります。
MBKキーキャップをノギスで測ってみたけどなんかでかい
差し込む結束バンドの厚さが0.8x3mmであることを考慮してFusion360でモデリングします。
印刷環境で変わるので結束バンドに合う寸法を見つけます。
今回は14.6mm角の狭ピッチキーキャップを作りました
ステムを差し込む穴を設けます。深さは2-3mmぐらいがよさそう
モデリングしたら印刷します
結束バンドを5-6mmの長さでカットします
なんとなくで長さを覚えてちゃっちゃと切ります
印刷したキーキャップに差し込みます。
ステムのはまりが緩い歩留まりも出ますが、捨てるなりステムに切り込みを入れたり接着剤をチョンとつけて差し込むなりします。
キースイッチに嵌めてみます。
ひっくり返してたたいても落ちてきません。十分実用できると感じます。
おわり
サポート材なしで量産できるのがとてもよいと思います。
ステムまで印刷するより結束バンドカットして差し込む方が早いのでFDMならやらない理由がありません。
おしゃれキーボード好きな方は生理的に受け付けないかもしれませんが個人的には実用第一なので気になりません。
最終的に3DPサービスに発注するにしてもFDMで簡単に試作ができると感じました。
結束バンドを接着すればいいだけなので、3DP印刷に限らずいろんな素材を使ってこの方式で作ることもできそうです
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