[自キ]KS-33B Gateron LowProfile 3.0スイッチに希望はあるのか

キーボード

 Nuphy社製のロープロファイルキーボードに使用され、国内でも流通し始めている「Gateron Lowprofile 3.0」スイッチは自作キーボードでロープロファイルキースイッチのニュースタンダードになることはできるのでしょうか。という話です。

 私の意見としてはChoc V2に勝っている点はBerry Profileを干渉無く使えることと値段が安いことだけであります。それ以外は一般的ロープロスイッチ代表Choc V2でいいじゃんです。

ロープロスイッチ

 ロープロファイルスイッチというと基本的にはKailh Choc V2シリーズを指すことが多いのではないかと思います。Choc V2は主にKailh, Lofreeの2社から発売されておりキースイッチの種類もかなり豊富に思います。
 MXとはピン配置が異なりホットスワップソケットが共通でなくChoc用のソケットを使用する必要があります。Choc V1とV2はキーキャップの規格が異なりますがソケットは共通で使用することができます。

 他も他社品あるでしょうが見ることないのでいいでしょう。

 GateronからはKS-33というシリーズが販売されています。Gateron LowProfileは1.0, 2.0とあり、記憶が正しければこの1.0, 2.0は互換性があり製品名の区別のみだったと思います。製品としてはKeychronやNuphyの製品に使用されていました。
 MXともChocともピン配置が異なり、これまた専用のホットスワップソケットを使用する必要がありました。

 内部構造が異なるので難しいのかもしれないですけど、それでもなんでそもそもMXとソケット互換にしないんでしょうね、、、

 Choc V2とKS-33はピン配置だけでなく高さ方向の寸法も異なっています。Choc V2の方がより薄い感じです。

Gateron LowProfile 3.0 概要

 Gateron LowProfile 3.0スイッチは既に市販品に展開されており、NuphyのAIR75 V3とかとかに使用されているようです。今後gateron規格のスイッチを使用しているメーカでは主流になっていきそうです。

nos75かっこいいな

 3.0 スイッチは2.0と異なりピン配置が異なる新規格のスイッチです。そのため型名もKS-33Bと変更されています。どう変更されたのかというと、なんとMXスイッチと同じになり、MX用ソケットが使用できるようになったのです。なんか可能性を感じる!

 3.0 KS-33Bと2.0 KS-33は規格が異なるので注意が必要ですね。ぱっと見全く同じだし、、

 合わせてハウジング形状も基本的には同じなのですが、ボトムの中央ピンがφ5→φ4.6と細くなっています。MXソケットに合わせて干渉しないようにちょっと細くなったのかなと想像します。それでもMXスイッチの中央ピンはφ4程度ですからまだ太いです。
 よって、ソケットは互換しますがフットプリントは中央の穴を広げる必要があります。そのため既存のMX向けキーボード基板には(これを見越して穴を拡張しているのでない限り)KS-33Bを嵌めることはできません。

KS-33B 種類

 製品としてはGateronおよびNuphyでリリースされているようです。

Gateron
red:リニア, トップPC, ボトムNylon, 3PIN
brown:タクタイル, トップPC, ボトムNylon, 3PIN
Grey Heron:リニア, トップPOM, ボトムPOM, 5PIN

 

silver:リニア, 5PIN

国内通販ダイヤテック FILCO直販で購入できます。gateron直販にはなさそうですね。記載ないですがKS-33Bベースモデルと材質は同じでしょうか。こちらは5PINです。

Nuphy
red nano:リニア, FullPOM, 5PIN
brown nano:タクタイル, FullPOM, 5PIN
silver nano:軽量リニア, FullPOM, 5PIN
blush nano:リニア, ステムPOM, トップPC, ボトムNylon, 5PIN
panda nano:タクタイル, FullPOM, 5PIN

panda nanoはbrown nanoよりバンプ感が強いみたい

 

 国内通販三陽合同会社 DIGIARTでNUPHYの通常ラインナップが購入できます。ありがたや

 ほかアリエクなどでも入手できそうです。

 届くまでの日数を考えるとDIGIARTでの入手が丸そうに思います。

MX, LP共用の基板は成り立つのか

 ソケットが共通ということは同じ基板でMXとLPの両方に対応できるのではというのが誰しも考えることと思います。私もそう思ったので共用の基板を起こしてみました。
 中央ピンの穴をφ5mmとするだけでスイッチには対応できます。

 基板側は問題ないのですがプレート側に問題があります。周知の事実ですがロープロスイッチはプレート厚1.2mm程度でないと爪が嚙みません。1.5mmのもので噛むものと噛まないものがある感じです。一方でMXスイッチは1.2mmプレートだとゆるゆるになってしまいます。
 個人的には抜けやすくはなるものの1.5mmや1.6mmのMX用プレートに噛まずとも嵌めるのが丸いかなと思いますし、そうしています。引っ張ると抜けやすいですが使用する分にはソケットが保持しているので問題はなさそうです。

 じゃあそれでいいじゃんというところなのですが、2U以上のサイズを使用すると話が変わってきます。スタビライザーが必要になってくるからです。
 KS-33用のスタビライザーはGateronから発売されています。アリエクなどにも並んでいますね。
 私もテストに購入してみました。ロープロ用でプレート基板間が狭い(1.3mm)ためかワイヤーは細いものになっています。

 プレートマウントで、当然っちゃ当然ですが1.2mmのプレートでないと嵌まらず設置できません。つまりスタビライザー使用するデザインでは、MXと基板を共通化することはできてもプレートは共通化できないというわけです。開口自体はLP:12.2×5.9, MX:12×6.6で多少隙間出来ても共通化できそうな感じがあったのですけどね。

 またKS-33Bはプレート上から基板上まで2.5mmでスタビライザーはより厚いです。スタビライザーが収まるように基板側には穴をあける必要がありますから、プレートを別にしたところで、MX構成でスクリューインスタビを使用することもできなくなります。

 公開されている雑なデータシート参考に線引いてみました。

 動作は問題なさそう。KS-33Bのスタビライザーはこんな感じです。

 NuphyのKick75はそこをなんかいい感じにしているようです。
【この打鍵音の良さとコスパの高さはエグい!】NuPhyの世界初 新発想ロープロファイルキーボード NuPhy Kick75 レビュー
 Daihukuさんの動画を見てみるとMX用のスタビライザーをロープロ用ではPCBに、MX用ではプレートにマウントしているようです。これが問題なくできるならばありかもしれない。

 gateronのプレー後マウントスタビで同じようにしてみます。ストローク分はカバーできています。

 これは1.2mmの板ですが、スイッチが浮いてしまっています。プレートがスタビライザーの上に載っている形です。
 ロープロスイッチでMX用スタビを使うことができるのはわかりましたが、共用プレートとするには微妙そうですね。Kick75では専用のスタビライザーを使用しているのでしょうかね。

 MX, KS-33B共通のGH60コンパチ基板ちょっとデザインしていたのですが、ここら辺を考えるに、スタビを使用するなら結局プレートが別パーツになってしまいそうな感じです。
 基板が共通化することに意味がないとは言いませんが、そのためだけにちょっと不自由な気がしています。本題から逸れているというか

KS-33Bに可能性はあるのか

 MX用のソケットが使用できるようになったというだけでとてもよいことだと思いますが、それ以上の恩恵はないという感想です。
 これは明確なChoc V2にはないメリットなのですが、どちらかというとKS-33の独自ソケットが悪だっただけですし、、、。(Chocはソケットも一般化しておりロープロの先行者利益が強いですね。)

 ですが一点Choc V2には致命的な弱点が存在しています。それは干渉しない入手性の良いステップスカルプチャーのキーキャップが現状ないことです(一応あるにはあるのですが、)。Choc V2が人気ということは多くの人は気にしていないところだと思うのですが、私はCherryプロファイルのようなシリンドリカルでステップスカルプチャーなキーキャップが好きなのですよね。
 Choc V2は十字ステムなのでそれらを使用することはできるのですが、必ず干渉します。厚いものは底打ち前にハウジングにぶつかり、薄いものは底打ち前にプレートにぶつかります。別に気にしなければいいと言えばそうなのですけどね。裏を返せばChoc V2の方がより薄型であるという強みではあります。

 その点でKS-33Bに強みがあります。KS-33bもMX向けのキーキャップが干渉することは同様なのですが、Nuphyから ロープロファイル で シリンドリカル で ステップスカルプチャー なBerry Profile キーキャップが販売されていることです。
 当然NuphyつまりGateronに合わせた形状をしていますから干渉するはずがありません。そしてBerry ProfileをChoc V2で使用すると干渉します。つまりChoc V2から見るとCherry profileとその点では何ら変わりがないです。

 私がChoc V2をあまり好んで使用していないのは適合するシリンドリカルでステップスカルプチャーなキーキャップが無いからですから、これだけで私はKS-33Bの方が好ましいのであります。

 あとChoc V2は単純に値段が高いという話がありましたね。gateronLP安いよ。

 

昔買ったKS-33スイッチとソケット完全に使い道無くなってしまったなあ。


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