[自作マウス]マウスシェルモデリング その2

マウス

 前回マウスらしきものを作ってみました。
[自作マウス]マウスシェルモデリング その1
 モデリング練習しています。それをfacfoxに3Dプリントを注文し出来栄えも確認してみます。

はじめ

 空いていた期間や作業しながらどういう構成にするか考えるわけですが、一般的な構造のマウスを作ることにしました。軽量化を考えると自作ならではのいろいろ削ったりができるわけですが最初は普通のものを作ろうというのと、最近いろいろと買ってみたりする中では、普通のマウスの美しさもあるなと思っているところなのです。来月には真逆のこと言ってるかもしれないですけど。

 形状はわれらが最強のつまみ持ち形状Kinzuっぽいのを引き続き使用します。基本的には素晴らしいマウスを作るぞというよりはおぼつかない手つきでマウスシェルってどう作るんだと言いながらだらだらとfusion360の練習なのでかなり時間もかかったし何度もやり直しながらやってました。おかげで何となくどういう手順でやっていけばいいかはわかってきた気がします。参考書などないので非効率的にやっている工程もかなり多そうですけど。

基板

 引き続きhaste2wiredを使用します。今回はサイドボタンも実装します。
 やはり普段使いするときあった方が便利なのである。

 前回とくに穴位置など問題はなかったので同じでサイドボタンを測って追加しました。他実装部品やフレームありますがまあ目視で

 ブッシュも用意されているのでそのまま使おうと思い追加しました。でかい。実のところhaste2のケーブルは柔らかいのですが大きく振ったときに踏むことがありあまり好きではないです。芯があり細いものが軽く踏まないので好きです。

 基板の配置を決めます。高さなどはPMW3360のデータシートなど確認して基板上がボトムから7mmの高さに来るようにしました。データシートはググれば出てきます。最新のセンサーはセンサーとマウスパッドの推奨距離が変わったりあんのかわからないですが定規をかざしてhaste2なんとなく見るとまあそんなもんかなと。
 基板モデルを動かしながら配置しましたがここにシェルがおかれている理由もないので固定位置に基板モデルを作成してシェルを動かして位置決めした方がよさそうですよね。と思ったり。
 当然つまみ持ちを前提とするので基板はリア寄りに配置されます。およそクリック位置の真下に押下部がくるように。このフォームモデルはkinzuより若干背が高いのでつかみ持ちも比較的しやすいのですけどするとだいぶリアセンサーになるしホイールは後ろだなになりそうです。しかしkinzu自身リアセンサであるためおなじぐらいという。
 見てわかる通りサイドボタンどこにつけるのか。実際それだけのスペースはない。

メインボタン

 シェルはメインボタンから作り始めました。MB分割型マウスです。
 つまみ持ちマウスなので手前側まで長めに取りました。proXなどのようにMBがフロント上面を覆うような感じで最初は切り取ったのですがフロントの背が低くケーブルブッシュがMBに干渉してしまうためホイールの前後はMBが覆わない感じになりました。MBの厚みと押し下げるクリアランスとと確保するともうブッシュを置くスペースなどなかった。haste2のブッシュでかいし。

 MBがふにゃふにゃだと死ねるので厚めに作ったのですが結果的には厚すぎた気がします。
 1.5mm厚+補強1mm厚としています。占有スペース的には合計2.5mmあります。重さのデメリットもありますしMBの占有スペースが分厚いというのもちょっとあれかも。ベストな厚みはいくつですか。
 補強にハニカムでribを入れていますがスケッチも処理も重い。
 ヒンジの長さや厚みは具合がわからないのと結局PA12だと特性が鈍いのでガチガチにならなきゃいいかなという投げやり。

トップシェル DPIボタン

 よくあるMB下にフレームがある構造です。シンプルにフロント側の歪みを低減する感じの。トップシェルの厚みは1.5mmにしました。MB下フレーム部分の厚みは1mmにしました。ふつうに柔らかいですがあることに意味があるのだろうか。MB下にヒンジを通すスペースを空けてあとはべったりですがもっと抜いて軽量化してもいい気がする。
 下の面はkinzuの尻が切られるラインでカットしてトップシェルとボトムシェルとで分けました。
 DPIボタンは細かいパーツで固定部分を作って実際うまく取り付けられるようにとか思うとだるかったので一体型にしました。

パーツを組み込む

 思想としてマイクロスイッチは上面に固定された方がいいよなというのがあります。ボトム固定でも全然大丈夫なやり方もあるのですが、上面に固定するのが間違いないです。ボトムシェルのねじ締め具合でクリック感が変わりまくる体験を過去散々しているため。基板をトップシェル基準で固定するためホイールのガイドはトップシェル側に取り付けています。ボトム側にあると飛び出してて心配になるしこっちの方が好きです。が普通に基板ボトム固定でホイールガイドもボトムから伸びてる方がいいこと多いんだよな。

 DPIボタンはトップシェル一体型なのでストッパーなどなく左右上下に無限にブレます。

 MBが引っぺがされないように押下部に突っ込む突起を設け。
 MBねじ止め部は固定されるようにribを4方向から一応当ててみました。固定部も外周を厚くしてみました。どうせヒンジがふにゃだからいくらでもぶれるんだけどブレ自体はどうでもよくてカッチリはまってほしい。既製品だと縦に長くねじ止め部を設けてψみたいなのが多いですがPA12でそれやるとヒンジが細すぎると思うのとスペースがないのとそもそもその形状がPA12だと作用しなさそうに思ってこんな感じに。

サイドボタンはセパレートでよくある根元がカチャッと嵌まる感じに。一応固定されるように引っ掛かり部分の左右に盛り上がりをつけてみました。

 シェルのたわみを低減するためにMB下のフレームにribを入れています。他ねじ止め部周辺からもribを伸ばしています。
 市販品だとボトムとのかみ合わせや補強に細かくribが配置されたりもしていますが今回はなしでも大丈夫か確認もかねて側面は補強なしです。背も低いのでボトムシェルだけでも十分支えてくれそうな気がしています。

 

 基板は後方を切れ目に引っ掛け、フロントのねじ穴に嵌めるようにしました。ボトムシェルを嵌めてねじ止めし固定します。基板が挟み込まれスイッチとMBとの距離が固定されると思っています。

ボトムシェル

 底面は1mm厚、サイドは1.5mm+トップシェル嵌めこむ用の補強が1mm厚で合計2.5mmです。厚いですがここだけだからいいかなと思ったりうーん
 ハニカムで雑に補強が入れてあります。
 なんというか作業工程後半だし特に機構もないしで明らかに適当にやりましたという感じ。
 フロントのねじ止め部はトップシェルと噛んで基板を挟み込み固定されます。

スペーサ

あとサイドボタンのスイッチを基板に固定するフレームをボトムシェルに固定しないので基板に直接固定するためのスペーサ。

外観

注文と組み立てと感想と

 前回JLCPCBでPA12で注文して仕上げが微妙でした。facfoxを使用されていると聞いたり購入したfacfox製造のMODマウスの仕上がりが良かったりで、facfoxに今回印刷を依頼しました。
 MJFプリントの材料にPA12とPA12ガラスビーズの2種類があったため両方で1組ずつ印刷してもらいました。価格はPA12が$20、PA12GBが$30でした。ガラスビーズの方が高いですが1組4500円程度なら特性が良ければ全然ありな価格感です。送料は$7程度でした。
 今回は見積依頼から到着まで10日程度でした。早い安い。

 寸法精度など知りたかったので嵌め合い部にオフセットなどは入れずに今回注文しました。

 まず寸法精度についてなのですが、公式に問い合わせたところPA12とPA12GBとで材料の差による仕上がり厚みに違いはないそうです。ただ制度自体が+/-0.2mmとのことでした。最大0.4mmの差が同じデータで生まれることとなります。
 今回の注文でどうだったかというと、目で見てわかる程度にはPA12の方が厚く(データ寸法より実測若干厚い)、PA12GBは薄かった(データ寸法より実測0.3mm程度薄い)です。+/-0.2mmとは言いますが実際はもう少しあるかもという感じ。でこれは製造ばらつきによるものということです。

 オフセットなしでデータ寸法より厚めの方は当然嵌め合いがぎちぎちでした。MBを嵌めて無理に外そうとしたら折れてしまいました。無理に力をかけたのが悪いのですが、素材的にPA12は硬く脆く、PA12GBはしなやかで靭性がありました。PA12の方が硬く作ることはできますが折れやすいし疲労もすぐ出るので、MBなど可動部は靭性のあるPA12GBで注文する方がよさそうに思います。比べるとかなり粘ります。複数素材の注文となるとイニシャルが発生するので、一組注文する場合はPA12GBですべて頼むのが、複数台注文する際は分けるとよさそうに思います。

 逆に薄い仕上がりだったPA12GBはゆるゆるでねじ止めしないとぽろぽろ落ちる様でなかなか製造ばらつきが自作マウスMODでは厄介な感じです。ばらつきに左右されない設計が求められます。
 今回はPA12のトップシェルにPA12GBのMBとボトムシェルを使い1組組み上げました。

 サイドボタン部分はPA12なのでキツい仕上がりだったのですが、サイドボタン固定の爪が折れてしまいました。非常に細いためまあ仕方ないかという感じです。DPIボタン周りもセパレートにして固定する爪など設けたとしても同じように折れそうです。細かいパーツはセパレートでなくインテグレーテッドにした方が良いのかなと思いました。次はサイドボタンもDPIボタンと同じように一体型にしようかしら。一体型だとロックできずびよんびよんしますがそこまでしてセパレートにするほどでもないです。

 MBはねじ止めすることでしっかり根元を固定することができました。この構造で悪くなさそうです。コンパクトだし。ただヒンジが結局稼働しやすくするためにあるのでMBは既製品のマウスのようにブレます。ぷらぷらしてるのがまずいだけでブレ自体は全然気にすることではないのでいいのですけどね。

 製造ばらつきでねじタッピングの穴径も当然ばらつきます。なのでこれは一番薄くできるときに合わせて細く作るしかないですね。自分でピンバイスで既定径の穴をあけるとか後加工するのがよさそうかな。今回十字に入れている嵌め合い部などは悩みどころです。ないと不安定そうだけどキツクできたときねじ穴のように簡単に後加工できないめんどくさいです。

 そもそもPA12という素材自体がヒンジに向いてなさすぎると思ってます。特性が鈍いことは想像に難くないです。昨今増えているマグネシウムマウスなどもMBがマグネシウム製になることでパリッとしたクリック感を実現しています。個人的にはすべて金属製にせずとも可動部のみ金属製にすれば同等のクリック感が手に入ると思っていろいろと聞いてみたりしたのですが可動部のみ異素材にしようと思うと結局わかりやすく手に入りやすいFR4ぐらいしかMBヒンジ部単体に使用できるものはなさそうでした。ちゃんと作ってもらおうとするとまあ趣味でできる価格ではない。次はこれも使いたい。

 スペーサは自宅の3Dプリンタで印刷してサイドスイッチジグをねじ止めしています。
 基板とブッシュをトップシェルに嵌めます。問題なくはまった。後方の引っ掛かりは多少突っ張ってそうですがそれもまた緩まず固定できて悪くない
 ボトムシェルはねじ止め部の入れ子と外周の嵌め合いとでカパッと嵌まりねじなくても落ちない感じでした。ねじ止めしますけど。ボトムとトップの噛ませ方は色々ありますが簡単だしこれでいいかな。嵌め合いやブッシュ固定によりボトムが歪んだり浮いたりしないか不安でしたがあまり心配せずとも大丈夫そうです。

 完成です。各部正常に動作しました。マウスとして使用できるものができてよかったです。仕上げは非常になめらかできれいです。facfox素晴らしいですね。鋭角の角などはバリが出ますがそれはそうという感じです。facfoxに限らずかもしれませんが製造ばらつきが思いのほか大きいことを除けばという印象です。
 サイドボタンが低くて持ちながら瞬時に押すにはむしろこれでいいのですけど、マウス形状のオタクとしてはあまり握ったときに指に干渉しない方がよいです。そもスペースがないのですが干渉しない程度に上にずらしたいなと思います。MBとの干渉など気になってくるので行動に起こすのがめんどくさい。

 重量は全体で49gでした。軽量ではありますが最近の市販品など見ていると30g台乗ってますからね。
 剛性感自体悪くなかったので、もう少し軽量化してもいいのかなと感じたのもあります。MBなどはかなり分厚いです。軽量化と構造の検討は今後ですね。

 ハードパッドで使用したところカタつかずおよそ平面で組み立てることができています。ボトムシェルはすっからかんなので中央などは押すとたわみますが外見上ソリッドな方がいいかなという感じです。ソールは固定されているねじ止め部周辺に張ればよいかなと。
 重量的にもボトムシェル、ねじ止め以外何も担っていないのに、10gありますからね。ねじ止め部周辺はソールを張り、他はペラペラでもカバーの役目を果たせばいいかなと思ったり。もっとペラペラでもいいか、、、?
 そこら辺を検討するとやはり基板はボトムに固定した方がいいのではという話が出てきます。このねじ止め方だとボトムに固定してもスイッチとボタンとの距離は一定に保たれるし。実用と好みといろいろうーんです。なんならボトムシェル取っ払っちゃうのが一番軽量化ですしね、、。

クリック感は悪くなさそうに思います。ヒンジをわざわざFR4で作成しなくても強くこだわらなければいけなくもないような。今は素のTTCのスイッチがついているので、正直わからんです。TTCのスイッチ好きじゃないやる気が出たら交換しよう。

おわり

 ふつうにマウスっぽいマウスができてビビる。ブラッシュアップして完成に近づけたいですね。
 ヒンジは一体型とFR4型と両方作って次投入してみようと思っています。FR4型は嵌め合いなしでねじ止めで合わせるので製造ばらつき無視しやすいのもいいかなと思っています。
 製造ばらつきを考慮した構成がなかなかどうしたものかなと悩みます。今回は素材が異なったので別々の厚みでできて、厚いと薄いを組み合わせていい感じに組めたわけですが、次どうなるかはわからない。ここら辺も自作の醍醐味でしょうか。理想の構造ではなく素材に合わせた構造を、。

kinzuは最高の形状です。素晴らしいです。

 反省点は多いですがとりあえずkinzuっぽいマウスが手元にできましたし誰かに急かされるものでもないのでだらだらと次を考えていこうと思います。


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