マウス用マイクロスイッチを交換・比較する

マウス

マウスのクリック部分に用いられているマイクロスイッチをいろいろと触ってみて、比較したりインプレしたりします。

スイッチ交換?

クリック感を好みに合わせる

クリック感が悪いなと感じてスイッチ交換をしてもクリック感が変化しますがシェル由来の悪さは改善はしないと思います

クリック感が合わないな、飽きたな、調整したいな、と感じたらマイクロスイッチを交換するという選択肢があります

スイッチ交換

はんだごては温調機能付きのほうが作業性がいいです。適切な温度で行いましょう。

不安な方はスイッチの足をニッパーで切り短くしておくとPCBから抜きやすくよいです。

はじめにパッドに追加ではんだを盛っておくと作業しやすいかもしれません

こて先は濡れがよい状態にきれいにしておきましょう。手入れされていないと作業難易度が上がります。

スイッチの取り外し方は人それぞれな気がします。

①こてを横に使う、素早く連続で温める、ホットナイフタイプのこて先を使用する、などして3本の足を同時にはんだを溶かしスイッチを抜き取る。

②はんだ吸い取り線を使用しはんだを除去する。こて先は接地面積が大きなもの太いもの、温度は高め、で行うとやりやすい。安いが失敗すると怠い。

③はんだ吸い取り器を使用しはんだを除去する。

④自動はんだ吸い取り器(はんだごて一体型のやつ)を使用する。高い。

取り外した後は吸い取り線で基板に残ったはんだを取り除きます。

使ったことないですが低融点はんだとか使うと楽なのかもしれませんね。

別記事でも交換手順を紹介しています。チャタリングした部品を交換する

スイッチの個体差やシェル

以前ソフマップに行ったときにxm1rが9個展示してあって、クリック感が全部違いました。同じスイッチ使用しているにもかかわらず。

最近だとメーカー側でスイッチの左右差を無いようにしていることが多いように思いますがマウス間の個体差は依然として残ったままになります

同じマウスいくつも触ってクリック感が異なるんですからこれは困る。

あとシェルの色違いとかでもクリック感変わってきます。xm1rもそうだしzowieのdivinaとかも

またMBがアクチュエータをまっすぐ押し込むことができなければスイッチに対する印象も変わってきます。(押し方で大きく変わります)

マイクロスイッチの動作

1 通常状態

2 力を加え銅板がしなり押し込まれる。プリトラベル

3 カチッとバンプがありクリックされる

4 クリックされた後も力を加えるとある程度押し込まれる。ポストトラベル

光学式マイクロスイッチ

スイッチが作動するとシャッターがばねと一緒に降りてきて光を遮断する機構。

LKを例にとっているがどれも大体こういう感じ。(巻きバネ式のss primeも光を遮断する部分は大体こんなもん)

シャッター部品に樹脂を使用していることからばねの動作がもたつく。

最近のものではシャッター部分もばねと一体化しているが驚異的な改善は見られなかった。

そもそもマイクロスイッチの形に落とし込む必要性がわからない。何年も大した進歩していないし別の機構を採用したほうがいいのではないかと思う。

使用したスイッチ

アリエクとかでいろいろ売っています。ちっこいのにたけえです。

kailhgm2.0
gm4.0
gm8.0
huanoblueshell whitedot
blueshell bluedot
blueshell pinkdot
bluedot
pinkdot
omrond2fc-f-7n(20M)
d2fc-f-7n(20M)(of)
d2fc-f-k(50M)
d2fc-f-k(50M)-rz
d2fc-f-k(50M)-rt
d2f-01f
zippydf3
ttcgolden60M,80M
c&kzma030
optLK
Razer
Roccat
Logi force

クリックの押下圧を測定

クリックのpressとreleaseの重さを測定して比較します

信頼性はびなんとも

単位はgfに近い何かです。測定器具測定方法によって結構変わるので相対値としてみてください。

力を加えてクリックするときの重さ、力を抜いてクリックが戻るときの重さ、その差の代表値またはばらつきのあるものは平均値等を示しています

結果としてプレスリリース時の押下圧の大きさを比較したところで、スイッチの性質は一部しかわからないことがわかります。

一つの判断基準にはなりますが押下圧だけでクリック感の良し悪しはわかりません。

ましてや実際にはシェルの中に組み込むわけですからなおさらわからんですよね。


傾向としてはreleaseの重さよりもpressの重さには差があり、差分にも違いが表れています

実際に雑測定してみて思いましたがやはり「押下圧の大きさ」と「クリック感の重さ」は別の概念であると感じました。

軽い重いと感じるのは入力に必要な重さよりも、press中の反発の強さやその変化、ストロークとかによってそう感じる部分の方が大きいのかもしれない

また、マイクロスイッチはははんだづけする際に熱を加えすぎると劣化するため注意する必要があります。

この時熱し過ぎるとまずスイッチのpress, releaseの圧が軽くなります。また物理的にクリックできなくなったり(例えばkailhに顕著)、チャタリングが起きたり(例えばhuanoに顕著)します。

はんだ付け作業はできるだけ素早く行い、スイッチの再利用もできるだけ避けた方がよいです。


またサイドボタン等に使用されている安いスイッチは、release圧が非常に低く指を離さないと戻ってこないです。なのでメインスイッチに使用することはまずありえないです。

マイクロスイッチの感想とか

スイッチを実際にマウスに嵌めてクリックしたりそのままクリックしたりします

上で書いたように測定での重さ軽さはクリック感への影響はそこまでな気がします。

 なんか色々と表現していますが私の感覚質によるものだしすべてのマウスで試したわけでもないし好みもあるしそもそも感想文自体即興なので斜に構えてみてくれたらと思います。そも自分でさえ時期によって書くことが異なる気がします。

プリトラベル・ポストトラベルは上記図で示したようなスイッチが作動する前・作動した後の押し込み量あるいはその部分になります。

バンプやタクタイルと表現するのはバネが作動しバネがカチカチ移動している部分を表現しています。

Kailh GM

はっきりした大き目のバンプが特徴

それもあってどれも指のストロークは長くとる必要があるが、多少タイプは異なる印象。

基本的な質は2<4<8ではある。

gm2.0の板バネ形状が4.0, 8.0と異なっている。アクチュエータはどれも面である

gm2.0

軽めでバコバコ系な感じで重めのバンプ感

release値にばらつきあり。

致命的にrelease圧が低く、指を離してからばねがreleaseされるまでが遅い。

またバネのたわみが小さく動作点が早い(pressはすっきりしている)。

対して、releaseはバネが返ってくる位置が押し込み量0に近い位置なため、指を離した連打が必要でジッターのような連打に向かない。

ポストトラベルは反発がある

そのためクリックストロークは長くする必要がある。

gm4.0

クリスピー系で連打しやすい。

今回の測定では最も押下圧が大きいスイッチであった。

2.0と比べるとバンプ感が軽くなったが若干鈍さが残る。

バンプが大きく、大きなストロークとなる

プリトラベル、ポストトラベル部分での反発が弱く、動作部分以外は緩い感じ

多少の押下圧のばらつきがあるが問題ない程度。それよりもバネ感の個体差がひどく、選別しないと左右で異なるクリック感となるだろう。

バネ感の偏りをよく解釈すればスイッチ側でシェルに対して調整が効くかもしれない。

gm8.0

バンプが軽い感じでgm4.0をカッチリさせたようなスイッチ

4.0と比べてであって、それでもバンプは大きい部類。

押下圧のばらつきが少なく(感の個体差はある)、全体的に優秀。

プリトラベル、ポストトラベルともに反発があり詰まり系で、大きく軽いバンプと合わせてかなりすっきりしたクリック感。

欠点としてはバネのたわみが非常に大きく、動作するまでの押し込み量及びreleaseしようとしてから実際にばねが返ってくるまでが長い。

ストロークの長いクリックを普段から行っている人にとってはかなり優秀なのではないだろうか。

huano

huanoスイッチはkailhスイッチと印象が異なりkailhの方がバンプにメリハリがありパチパチカチカチしていてタクタイル感が強い。

huanoはタクタイル感が小さく、押し始めてから作動するまでがスムーズ

huanoの方がのっぺりした感じでpressがスムーズだと思うがgm8.0など多く使う人からすると鈍く感じ明瞭さに欠けるかもしれない。

huanoの青殻は黒殻に比べてそれが特に顕著で、青殻は作動するまでの押下圧とストロークがリニアである。

耐久性では優れているのだろうが、リニアな方が優れているとは言えず好みな気はする。

青殻青点のみ板バネ形状が線接地で異なっている。アクチュエータはどれも二又である

基本的な質は白≒青<桃

blueshell whitedot

青殻の中ではpress圧が大きく、またプリトラベル部分での反発が強いため 詰まり系であると感じる。

その意味では浅い部分で完結しており底打ちするとよくない。

プリトラベル部分とポストトラベル部分とでややギャップを感じます。

blueshell bluedot

青殻の中ではrelease圧が小さく、帰りが遅いため指をしっかり離す必要がある。

バネのたわみがやや大きくプリトラベルが比較的大きく、press動作点よりも帰ってくる地点のほうが高い位置に感じるため、連打する際はその分のストロークが必要となる

ポストトラベルは0に近く感じ(ポストトラベル部分での反発が弱く、動作時点でアクチュエータがほぼ押し込まれきっている)、深い

プリトラベルがやや緩い

バコバコ系

blueshell pinkdot

やや強めなプリトラベルの反発(白点ほどではないが)とポストトラベルの反発感がある。

プリ・ポストトラベルでの反発が適度にある青点のような

白点、青点と比べると軽いタクタイル感であり明瞭感がある。

クリスピー系

bluedot

押し込み時は青殻より軽快だがその分バンプを超えた後がやる気ない。

pinkよりも柔らかめ

zowieに使われているもので押し込みはスムーズだけど浮かせるように浅くクリックする必要がある。pressは良い感じ

pinkdotよりもバネ感があり押し込み開始時に受ける反発が大きく感じます。

pinkdot

機構はbluedotと同じ(バネ違い)

vaxeeで使われているスイッチ

bluedotよりもプリトラベル中の反発が軽く明瞭なタクタイル感が得られる

bluedotよりリニアです

omron

嫌われがちですが安いマウスに採用されていた影響もあると思っています。実際ばらつきは大きいし50Mはねばるのですけど。

kailhやhuanoに対して明確にポストトラベルを感じ、好みが分かれそうです。流行的にはあまり好まれなさそう。

d2fc-f-7n(20M)

押下圧のばらつきがひどい欠点があり選別の必要がある。

クリック感もだいぶばらつきがありプリトラベルがほぼないものから、プリトラベルが長くポストトラベルがないもの、硬いもの柔らかいもの、、、良個体を選別する必要があります。

なので品質がまあ

私が良個体と思うものは大き目のタクタイル感に明瞭なクリック感があり使いやすいように感じます。選別するのにほかのスイッチの数倍は必要と感じます。

d2fc-f-7n(20M)(of)

20mより押下圧が軽め、タクタイル感は弱めのスイッチ

d2fc-f-k(50M)

だいぶ昔に取り出したやつですが取り出し時に加熱しすぎていることがわかりますね。

一昔前の定番スイッチだけど最近全く見なくなりgm8.0に置き換わった気がするやつ

20Mほどではありませんがばらつき幅が大きいです。感も硬いものから柔らかいものから、、

プレスリリースの差が小さく軽快です。

バンプは非常に小さくその分ポストトラベルが多くなります。

バネ感が強い応答性の悪さやポストトラベルの長さから粘るといわれるスイッチです。

d2fc-f-k(50M)-rz

press圧にばらつきがあり選別の必要があります。

プレスリリースの差が小さく返りが早いスイッチです。

50mに硬質メリハリをつけた感じでバネ感が低減し、ふにゃっとした部分が解消されています。

バンプの小ささ、ポストトラベルの長さは同様です。

d2fc-f-k(50M)-rt

取り出し品のため劣化しているかもしれない。

50Mとrzの中間のように感じ、粘りは低減しながらもrzと比べて硬すぎない

d2f-01f

zippyと似た機構。d2fcと比べると圧が安定している。

押下圧が軽く、タクタイル感は強め

差も小さなスイッチで返りが早い。

バネ感もあるが50Mのような粘りはなく、rzのような硬さがある。

ポストトラベルの反発がやや弱く、底打ちさせると詰まり連打しにくくなる印象                                                                                                                                                                                                                                            

zippy

hid-labsで販売されているもの

d2f-01fと同様の機構

ばらつきは小さく、press releaseの差も小さめ

omronのようなバネ感とhuanoのようなリニアさがある。

独特のクリスピーさがある

バネの返り方が強く、返ってきた位置が高い位置と感じる。

ttcgolden

60mはたわみが大きく反発が弱いため柔らかく感じ、80mは明瞭で硬めと感じる。

よくたわむ分60mのほうがポストトラベルがはるかに少なく感じる。

プリトラベル・ポストトラベルでの反発が弱い。

バンプの大きさは普通であるがタクタイル感は強く明瞭。

これらのことからやや歯切れ悪いのだが、クリック感が重めな反面強めのタクタイル感と弱めの反発でバランスが取れ、質の低めのシェルの負の影響を低減させているように感じる。

zma030

個体差があるが軽い個体は実際にかなり軽い。クリック感もやや個体差がある。

ただ反発も弱めなのが難点か

また分解画像からバンプが小さく見える

軽い押下圧と、小さなバンプでが特徴

LK optical

CoolerMasterで使用。

光学式の走りだったと記憶している。走りだったのでまあ性能は、、

D

Razer iotical gen2

LK製なのでLKoptとほぼ同じ。

クリック感は硬めでくっきりにすることで光学式の欠点をごまかそうとしている

ROCCAT optical

見てのとおりTTC製だろうか。

LKのものとシャッター部品の形が異なりL字をしている。

これといった特徴に欠ける光学式な感じ

Logicool optical

G502Xから搭載されている。ROGもomronの光学スイッチなので同じやつかも(知らない)

LKやTTCのものはばねとシャッターのみで取り外し可能であったがこちらはLEDとセンサーも内蔵している。(一体型)

Razerのは硬さを増していたがこちらは明瞭感が増されている。

シャッター部分にプラ部品を使用していないため従来のもたつきは軽減している。が光学式の域は出ない。

機構が異なり面白い

おわり

ただの感想に過ぎないし、好みは人それぞれだし、マウスシェルとの相性もあるし、マイクロスイッチに興味を持っていただいていろいろ試して語っていただけるとよいと思います。

よいクリック感を得るにはよいマウスシェルを使うしかなさそう。結局ここが第一だと思う。悪いシェルのスイッチ選定はマイナスを減らして少しでもマシにするために ですが、良いシェルのスイッチ選定は好みに近づけるために です。

シェルが微妙なやつにはttcとかよいと思うぞ。

スイッチ交換はスイッチの好みに合わせて調整するためにするもので改善効果は薄そう

人気なマウスに乗っているスイッチを脳死で付けとけというものではない気がする。

メーカーごとに特色が見えて面白かったです。マイクロスイッチにもこのメーカーが好き!ということがあるのではないでしょうか。

実際に乗せるとマウスごとに全然印象変わるしな~いろいろ試してみてください

参考になりそうなインターネット

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